代表の村井です。
インボイス制度開始から2ヵ月あまりが経ち、予想していた以上に実務上の処理の大変さを感じています。
お客様からのご質問も多岐にわたっています。
今回は、一般的なインボイス発行とは違うパターンのお話です。
例えば、不動産賃貸業で契約期間が5年間である建物の賃貸について保証金を500万円預かっていたとします。
契約上、毎期償却し、中途解約の場合には未償却分を返還することとしている場合、インボイスの交付義務はどうなるのでしょうか?
原則は、資産の賃貸借契約等に基づいて保証金、敷金等として受け入れた金額であっても、期間の経過によって返還しないこととなる部分の金額は、その返還しないこととなった日の属する課税期間において、資産の譲渡等に係る対価となります。よって、償却することとなる日において、償却分のインボイスを交付することになります。
ただし、上記はあくまで原則であり、例外処理が認められています。
課税資産の譲渡等を行う前であっても、インボイスの交付をすることは可能です。したがって、保証金を受け入れるときに交付する受領書や契約書等に、インボイスとして必要な事項を記載することにより、その受領書や契約書等をインボイスとすることができます。
対価を前受した場合のインボイスの交付については国税庁のQ&A問39にも記載がありますので、こちらをご参考にして下さい。
なお、課税売上を計上すべき日において、交付したインボイスの記載事項に変更が生じることとなった場合には、修正インボイスを交付する必要がありますのでご注意下さい。